西洋薬は主として化学合成されたものです。
化学構造が一定で、いつも同じ効果が見込めるうえ工業的に大量生産することができます。
有効成分だけを抽出したり合成しているため、薬の作用が強く、即効性があるのも大きな特徴です。
西洋薬は主に「対処療法的に」使われます。
しかし、そうした特徴が同時に副作用を生みやすくしているのも事実です。
また、薬の服用を止めると再発するケースがかなりみられ、かえって悪化することもあります。
それに対して漢方薬は天然の植物、動物、鉱物など、何種類かの生薬を組み合わせて処方する「複合剤」となっています。
西洋薬に比べると、「複合剤」である漢方薬の成分はケタ違いに多いです。
そのため、漢方薬の薬理作用はきわめて複雑、多彩です。
漢方薬の神秘的な作用はこのことからもわかります(科学的に解明することが困難)。
また、漢方薬には二千年の歴史があり、その間に無数の処方が作られては淘汰され、すぐれた処方だけが残されてきました。
こうした処方の膨大な使用経験の中で、「どのケースに使えばよいか」が決めれてきました。
いわば、二千年におよぶ「臨床試験」で、薬効と安全性が徹底的に確かめられた薬といえましょう。
わずか3〜5年の「臨床試験」で発売される西洋薬は、後になって重大な副作用が新たに見つかって大問題になるケースも
あります。
漢方薬の効き方は多くの場合緩やかで、効果が現れるまでに西洋薬より時間がかかります。
その反面、漢方薬が適切に使われた場合は、西洋薬のように「薬をやめると再発する」というケースがほとんど見られません。
副作用も西洋薬よりはるかに少ないのが特徴です。
このように、漢方薬は西洋薬とは全く異なる理論、歴史に基づきつくられたものです。
わかりやすくいえば「症状を抑える」というよりも、体のバランスを整え、自然治癒力を取り戻し「根本的に治す」ことを
目的としています。
西洋医学と東洋医学の療法に携わってきた経験から、感染症などの急性病には西洋薬をメインに、なかなか治らない慢性病
には漢方薬とそれぞれのいいとこ取りをされたらいいと考えます。
例えば、「痛みやかゆみ」。
元来、人はこの苦痛に耐えられるようにできておりません。
ひどい虫歯が合った場合、たとえ横綱であったとしても100%の力で相撲を取ることはできないでしょう。
ひどい痛みやかゆみ(アトピーなど)でお困りの方に、一時的にその苦痛をやわらげていただくため、鎮痛薬や抗ヒスタミン剤
などの西洋薬をお勧めするケースもあります。
それで、苦痛が緩和され、ゆっくりお休みになることができれば体力がつき、自然治癒力は高まるのですから。
漢方薬がゆっくり効き出してから、それらの西洋薬は止めればいいのです!
ですから、西洋薬を飲まれると決まったら、罪悪感を持って飲んではいけません。
なぜなら、今はあなたに必要な薬なのですから。
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